もくじ

ジフテリアとは?

ジフテリアとはジフテリア菌(Corynebacterium diphtheriae)の感染によって起こる感染症です。 基本的に上気道粘膜に起こる病気ですが、眼瞼結膜や中耳等に感染が広がることもあります。 適切な治療を行わなかった場合、ジフテリア菌から産生されたジフテリア毒素により、昏睡になったり、心筋炎になったりすることがあります。 致死率は5~10%と非常に高い疾患です。 ジフテリア菌に感染すると2~5日程度の潜伏期を経て、発熱、咽頭痛、嚥下痛が起こります。 鼻ジフテリアでは、血液の混じった鼻水が出て、鼻の孔や上唇がただれます。 扁桃・咽頭ジフテリアでは、扁桃・咽頭周辺に白~灰白色の膜が形成されるのが特徴です。

ジフテリアの予防接種について

予防接種のワクチンを接種することで、ジフテリアの罹患リスクを95%も軽減できるという報告があります。 1945年日本における患者の届け出数は約8万5千人でしたが、ジフテリアのトキソイドワクチンの接種により患者は激減し、 1991年から2000年までの10年の間で届け出された患者の数は21人となりました。 その後、1999年に最後の患者が報告されて以来、国内での発生報告はありません。 定期接種は市町村の自治体が中心となって行っています。 ワクチンの接種から10年以上経過するとワクチンの効果が低下するため、ジフテリアが流行しているロシアなどに行く場合は、予め接種してから出かけたほうがよいでしょう。 まれに副作用により熱が出たり、腫れたりすることもあります。 ジフテリアのワクチンはジフテリア破傷風混合トキソイドワクチンです。他に百日咳、ポリオを予防するためのワクチン成分も含有されています。



ジフテリアと破傷風予防接種2期について

2期に分けてワクチンを接種する方法です。 ジフテリアワクチンを含むDPT四種混合ワクチンは、1期初回として、生後3~12ヶ月の間に20日~56日の間隔を開けてに3回接種、 追加接種については3回目の接種を行ってから6ヶ月以上(一般的には12ヶ月以上)の間隔をおいて1回行います。 予防接種2期は11~12歳の間に1回接種を行います。 1期目のワクチンによって作られた免疫は徐々に低下していくため、追加で接種してワクチンの効果を高める必要があります。 1期目を受けていない人は追加で接種しても効果はなく、かえってアレルギー反応を起こすため原則接種しません。

ジフテリアの感染経路について

ジフテリアはジフテリア患者や無症候性のキャリア(保菌者)の人の咳などの飛沫がのどや鼻の粘膜に付着することでを介して感染が成立します。 ジフテリアの感染により症状が出る人は約10%と言われており、残りの人は症状がでない保菌者となります。 今年の一月、ジフテリアと症状がよく似た「コリバクテリウム・ウルセランス」による感染症によって女性が死亡しました。 こちらは人畜共通感染症の原因菌であり、飼っている犬や猫から人間にうつるとされていますが、ジフテリア菌による感染症とは異なります。